DAW/DTM

自宅でマスタリング:: 第1回 コンプレッサー

音圧を稼ぐのではなく、ピークを抑えてミックスをなじませる

成田浩一郎
マスタリングエンジニア/ サウンドプロデューサー

自宅でマスタリング

第1回 コンプレッサー

「第1回 コンプレッサー」7m16s

DAWの普及によって、自宅で曲作りからミックスまでするミュージシャン、アレンジャー、トラックメーカー、そして趣味で音楽を作る方、DTMerが増えてます。そうした皆さんから「マスタリングって何をしてるんですか?」「どうしたら自然な音圧を上げれるんですか?」などとよく聞かれることがありますが、どうしてもマスタリングという分野がブラックボックス的だったり、何か特別なマジックが行われてるイメージがあるようです。そこで日々、様々な音楽のレコーディングからミックス、そしてマスタリングまで携わる僕の方法を紹介したいと思います。

マスタリングチェーンとレベル管理

まずマスタリング時にはコンプレッサー、イコライザー、最終段にリミッター(マキシマイザー)を組み合わせて使います。これをマスタリングチェーンといい、イコライザー以外は基本的なパラメーターを予め設定しておきます。

そして、マスタリング時に大事な要素はミックスのレベル管理です。僕の場合、ミックスのレベルをVUメーターで0VU -16dbに設定して、ミックスのレベルをおおよそメーターの0から、大きいところで+1くらいに収まるようにしてます。VUメーターを使うことによって、曲が変わってもいつもだいたい同じレベルで仕上げることが出来ます。こうすることによって、自分で設定したマスタリングチェーンもいつも同じ設定でスタート出来ます。

今回はまず、一番最初の段階で使うコンプレッサーについて説明したいと思います。

始めはコンプレッサーから

マスタリング時のコンプレッサーの役割は、音圧を稼ぐのではなく、少しのピークを抑えミックスをなじませるイメージです。ここでの処理により、後段のイコライザー、マキシマイザーの処理がやり易くなります。マスタリングチェーンは、あくまで一つのプラグインで音をなんとかするのではなく、全てのプラグインを組みわせて処理します。

最近のお気に入りは、Slate Digital VBC FG-Redです。ハードのFocusrite Redをシミュレートし たものです。実機はクリス・ロード・アルジ氏がマスターバスで使ってるとWeb記事で読んで、自分 も試してみたら好きな感じだったのでここしばらくのレギュラーです。

パラメーターですが、基本的にいつも同じです。 Threshouldが-10、Ratio 1.5~2:1、Attack 4(15~20ms)、Release Auto です。 Outのゲインは0です。 この設定で、メーターで-1くらいコンプレッションします。 このプラグインには、サイドチェインで動作するHPFがついていて、最近のローエンドを残したい音源 などには40~50Hzにコンプが掛からないような設定で使います。

Threshould -10
Ratio 1.5~2:1
Attack 4(15~20ms)
Release Auto
Slate Digital VBC FG-Redを使った設定例

FG-Redはアナログ実機のシュミレートなのでGRをVUで確認しますが、Waves R-Compなどデ ジタルのピークメーターの場合には、-2~3dbを目安にすると近い結果になると思います。 他のコンプを使う場合は、Threshouldが-10、Ratio 1.5~2:1、Attack 15~20ms、 Release 150msあたりを目安にすると良いと思います。

Threshould -10
Ratio 1.5~2:1
Attack 15~20ms
Release 150ms
標準的なコンプの設定例

繰り返しますが、あくまでここでのコンプレッサーの役割は、音圧を稼ぐのではなく、少しのピー クを抑えミックスをなじませるイメージです。なじませるイメージとは、ミックスする各楽器やボーカル などを接着剤でくっつけるニュアンスです。

元音源
コンプレッサー処理後

使用曲「染み/セットラウンドリー」

セットラウンドリー
公式HP | tunecore

初段のコンプレッサーでミックスを整え、次のイコライザーで聴きたいものをつき、何か問題の ある箇所をカットして、その後必要であればキャラクターがつくサチュレーション系を入れ、さらにイコライザーで整え、最終的にマキシマイザーで音量を決めるというプロセスを踏みます。あくまで 一度に極端な処理はせず、必要であればプラグインを足し少しずつレイヤーを組むように処理する ことがDAWとプラグインを使うメリットです。

まとめ

今回はコンプレッサーについて、僕のやり方を話しました。

必要なことは、ミックスのレベルをVUメーターで0VU-16dbで平均0、サビなどピークで+1前後で 作り、Threshouldが-10、Ratio 1.5~2:1、Attack 15~20ms、Release 150msあたりを目安に 2〜3dbコンプレションするだけです。試してみて下さい。

成田 浩一郎
Koichiro Narita

ギタリスト、エンジニア、サウンドプロデューサー

中学生からギターを始め、その後、様々なバンドで活動。1992年に葉山のサージスタジオに所属し、充実した機材環境の中、ポストプロダクションおよびマスタリングを学ぶ。

1997年、独立してStudio Light Stuffを本格的に始動。 いち早くPro Toolsを導入し、レコーディングからマスタリングまでを自ら手がけるようにな り、数々の作品に関わる。

自らの作業環境をルームチューニング、モニタリング、ケーブル、電源システムまで徹底的にこだわり試行錯誤することによって、音響空間創造の知識を蓄える。

レコーディングにおけるエンジニアリングやサウンドプロデュース以外に、ギタリストと しても数多くのセッションに参加。近年はアレンジ、ライブレコーディングの分野でも活躍中。

レコーディングマスタリングスタジオ - Studio Light Stuff

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