自宅でマスタリング
第1回 コンプレッサー
DAWの普及によって、自宅で曲作りからミックスまでするミュージシャン、アレンジャー、トラックメーカー、そして趣味で音楽を作る方、DTMerが増えてます。そうした皆さんから「マスタリングって何をしてるんですか?」「どうしたら自然な音圧を上げれるんですか?」などとよく聞かれることがありますが、どうしてもマスタリングという分野がブラックボックス的だったり、何か特別なマジックが行われてるイメージがあるようです。そこで日々、様々な音楽のレコーディングからミックス、そしてマスタリングまで携わる僕の方法を紹介したいと思います。
マスタリングチェーンとレベル管理
まずマスタリング時にはコンプレッサー、イコライザー、最終段にリミッター(マキシマイザー)を組み合わせて使います。これをマスタリングチェーンといい、イコライザー以外は基本的なパラメーターを予め設定しておきます。
そして、マスタリング時に大事な要素はミックスのレベル管理です。僕の場合、ミックスのレベルをVUメーターで0VU -16dbに設定して、ミックスのレベルをおおよそメーターの0から、大きいところで+1くらいに収まるようにしてます。VUメーターを使うことによって、曲が変わってもいつもだいたい同じレベルで仕上げることが出来ます。こうすることによって、自分で設定したマスタリングチェーンもいつも同じ設定でスタート出来ます。
今回はまず、一番最初の段階で使うコンプレッサーについて説明したいと思います。
始めはコンプレッサーから
マスタリング時のコンプレッサーの役割は、音圧を稼ぐのではなく、少しのピークを抑えミックスをなじませるイメージです。ここでの処理により、後段のイコライザー、マキシマイザーの処理がやり易くなります。マスタリングチェーンは、あくまで一つのプラグインで音をなんとかするのではなく、全てのプラグインを組みわせて処理します。
最近のお気に入りは、Slate Digital VBC FG-Redです。ハードのFocusrite Redをシミュレートしたものです。実機はクリス・ロード・アルジ氏がマスターバスで使ってるとWeb記事で読んで、自分も試してみたら好きな感じだったのでここしばらくのレギュラーです。
パラメーターですが、基本的にいつも同じです。Threshouldが-10、Ratio 1.5~2:1、Attack 4(15~20ms)、Release Auto です。Outのゲインは0です。この設定で、メーターで-1くらいコンプレッションします。このプラグインには、サイドチェインで動作するHPFがついていて、最近のローエンドを残したい音源などには40~50Hzにコンプが掛からないような設定で使います。
Threshould | -10 |
---|---|
Ratio | 1.5~2:1 |
Attack | 4(15~20ms) |
Release | Auto |
FG-Redはアナログ実機のシュミレートなのでGRをVUで確認しますが、Waves R-Compなどデジタルのピークメーターの場合には、-2~3dbを目安にすると近い結果になると思います。他のコンプを使う場合は、Threshouldが-10、Ratio 1.5~2:1、Attack 15~20ms、Release 150msあたりを目安にすると良いと思います。
Threshould | -10 |
---|---|
Ratio | 1.5~2:1 |
Attack | 15~20ms |
Release | 150ms |
繰り返しますが、あくまでここでのコンプレッサーの役割は、音圧を稼ぐのではなく、少しのピークを抑えミックスをなじませるイメージです。なじませるイメージとは、ミックスする各楽器やボーカルなどを接着剤でくっつけるニュアンスです。
初段のコンプレッサーでミックスを整え、次のイコライザーで聴きたいものをつき、何か問題のある箇所をカットして、その後必要であればキャラクターがつくサチュレーション系を入れ、さらにイコライザーで整え、最終的にマキシマイザーで音量を決めるというプロセスを踏みます。あくまで一度に極端な処理はせず、必要であればプラグインを足し少しずつレイヤーを組むように処理することがDAWとプラグインを使うメリットです。
まとめ
今回はコンプレッサーについて、僕のやり方を話しました。
必要なことは、ミックスのレベルをVUメーターで0VU-16dbで平均0、サビなどピークで+1前後で作り、Threshouldが-10、Ratio 1.5~2:1、Attack 15~20ms、Release 150msあたりを目安に2〜3dbコンプレションするだけです。試してみて下さい。